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静かに玄関の開く音が聞こえて、僕はペンを置いて立ち上がった。
キッチンに向かいお湯を沸かし、その間にコーヒーメーカーの準備をする。
コポコポと軽い音を立てながら辺りがコーヒーの良い香りで包まれていく。
カチャリとバスルームに続く扉が開いて、ペタペタと足音が近付いて来る。
「おかえり、海斗。外暑かったでしょ」
「ただいま。まだ起きてたのか?」
リビングの壁に掛けられた時計の示す時刻は午前二時半。
「うん。明日提出のね、最終仕上げ。休憩にコーヒー淹れたんだけど、飲む?」
「サンキュ。あ、俺アイスがいい」
「分かってる」
そう云うと思って予めグラスに氷を入れて用意しておいた。
「ふあー!涼しー!生き返るー!!」
薄手のハーフパンツだけで裸の上半身にバスタオルを首に掛けて、ラグの上で足を伸ばして海斗が大きく伸びをする。
時間を見計らって付けていたエアコンは、少し肌寒い位だ。
自分用のホットのマグと海斗用のアイスコーヒーのグラスをソファテーブルに置いて、僕は呆れた溜息を吐いて海斗に近付いた。
「もう、また髪ちゃんと拭いてない。風邪引くっていつも云ってるだろ?!」
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