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「あれじゃないか。攻撃的な魔法が使えないやつだったんじゃないのか」
聖霊使いには多様な種類があり、全てが派手な魔法を操るわけではない。地味な回復系やアシストタイプもいる。
「そんなことは、なかったらしいんだよ。殺されたのはむしろ、この辺りじゃ有名なプレイヤーだったらしいんだ。大会でも上位に行くようなさ」
聖霊使いがその力を競い合う大会は、毎年開かれている。勝ち進めば賞金も出るので、そちらをメインにして生計を立てるものも少なくはない。
「じゃあ、相手が相当強いってことなのか」
「どうだろう。なんかこれは、そういう強い弱いでは語れない話のような気がするんだ」
「どういうことだよ」
「被害者は血も吸われていたみたいなんだ」
「は?血?」
「うん。首筋には噛まれた痕があって、被害者は干からびたようになっていたって報道されているんだ」
「犯人は吸血鬼だとでも言いたいのか?」
馬鹿らしい、と大翔は思った。この世界には魔法使いはいるが、小説に出てくるような化け物は存在しない。吸血鬼も同じだ。
「そうかもしれないって、言われている」
しかし、圭太は真顔で続けた。
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