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出会い
朝のホームルームで担任が新しい仲間を紹介します、と言ったとき、クラスには若干のざわめきが起こった。いまは五月の上旬、高校生活の始まったばかりのこの時期に転校生というのは常識では考えられないことだった。
しかも担任に呼ばれて姿を見せたのは、長身の美人だった。大人びた顔立ちをしていて、制服の上からでもわかるほどスタイルが良かった。
「みなさん、はじめまして、久世紗由理です。病気が原因で少し遅れての登校となりましたが、いち早くクラスに溶け込めるように頑張りたいと思います」
紗由理がそう挨拶すると、いかつかの下世話な質問が飛んだ。紗由理は嫌な顔一つせずにそれに答え、またははぐらかしていった。
病気か、と大翔は思った。ということは転校生ではないわけだな。それにしても顔色は良いし、腰まである黒髪は艶やかだし、とても病人だったようには見えない。
それ以上のことを、大翔は考えなかった。このクラスメイトも聖霊使いに決まっている。聖霊使いは相手が聖霊を宿しているかどうか、見ただけでわかる。クラスの反応を見れば、この女子がどちらかは明らかだった。
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