それは偶然か必然か

6/6
前へ
/59ページ
次へ
「いいよ、大丈夫?横になってな?」 …………あ、優しいかも?安心して平気かな。 「ちょっとだけ窓開けてもいい?高速なのにごめん~。」 「全然いいって。」 彼は優しい声で言うと、少し窓を開けてくれた。 少しひんやりした秋の風が車内に入ってきて、気持ちいい。 深く息を吸い込んで、気持ち悪さを沈めながら、ふと彼の方を見た。 ………………横顔、きれい。 夜の暗い車内で、対向車のヘッドライトに照らされて見える、運転中の彼の横顔が、きれいで。 最初に、送られてきた画像を見た時にも思ったこと、だけど。 …………………………………………かっこいい。 え、待って。いや、いやいや。 フッと心に降ってきた自分の言葉に、自分でビックリして、急いで茶化すように掻き消した。 …危ないあぶない。 窓の方へと顔を戻して、もう一度ゆっくり深く、息を吸い込む。 そう、だってこれは、たっくんのいない夜の、想定外のちょっとした暇潰し、なんだから。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加