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もうおたがい、相手の気持ちはわかってる、みたいだった。
「もう帰らなきゃだね」
会えばいつも、一緒にいたくてそう言ってた。
帰りたくない、それが言いたくても。
だけど好きだとか、付き合おうとか、そんなことを言うにはまだ早過ぎて。
けーちゃのこと。地元は長崎なこと。就職でこっちに出てきたこと。キュッと上がったいたずらっぽい口角。
耳の軟骨にピアス。歌が上手なこと。
スノボーが好きなこと。
学生の時はサッカー部だったこと。今でも趣味でフットサルをやってること。
好きな食べ物は鶏の唐揚げ。嫌いな食べ物は魚介類。
別れた彼女は年上だったこと。母子家庭のこと。地元に双子のお兄ちゃんがいること。
会社の寮に今は住んでること。こっちにいる時は標準語を話してるけど、本当は方言で話すこと。
今の職場でずっと頑張っていくつもりなこと。
短い期間で知った、彼のこと。
だけど、それらのどんなことよりも、おたがいに知りたがったこと。
それはお互いへの気持ち。
どこかおたがい、まだ試してるかのような。欲しくて仕方ないこの感じは、本気?遊び?
これは、好き?
ねぇ、こんなこと思ってるの、あたしだけかな?
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