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床に置いていた鞄を背負う。
鍵盤はここに置かせてもらっているので、簡易テーブルから下ろしてそのままにしておく。
「そんじゃ、俺もう帰るな。明日も来るから。」
付き添い用の椅子から乗り出してキスをする。毎日の日課みたいになった、恋人ごっこ。
ずっと一人でいると人肌恋しくなる、そう奏がぼやいたことから始まった。
「無理して毎日来なくても大丈夫だよ、遠いだろ?」
「別に平気、定期券の圏内だし。」
ドアの前まで行って振り返ると、心細げな顔が逆行に照らされていた。
「…じゃあ、気をつけろよ。」
毎日来て欲しいと言えばいいのに。言わなくてもくるのだけれど。
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