ある日の403号室

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 ちなみに2人の地球人名は、故人から適当にチョイスした。故人なので、問題はないだろうとの判断だが、大いに問題であることに全然気がつかない2人だった。  偽名を使っていることから明らかであるが、正体が宇宙人であるというのは地球人には秘密である。しかし、その名前をいくら「本名です!」と力の限り主張してもまったく信じてはもらえず、その行動も謎めいているところから、マンションの住民からは、なんだか怪しい男たちで、もしかしたら宇宙人かもしれない、できればあまりかかわりたくない、などとウワサされていたりする。 「いや、この消しゴムなんだが」  前置きが長くなって危うく忘れてしまうところだったが、ガニガニ・9・ボーテはさっきから消しゴムをいじり倒していた。 「消しゴムがどうかしたんですか?」  ルケルケ・7・トーは、なんだ、たいしたことではないな、と一安心。先輩であるガニガニ・9・ボーテより5年も前から地球に来ていたルケルケ・7・トーは、地球文化に対して詳しかった。(当社比)
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