缶コーヒーの男

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 長身の男がひとり、立っていた。 「あ、おまえは……」  見たことのある男だった。会話も交わしたこともあり、他の星からの調査員だということだけはわかっていたが、それ以外のことは謎だらけの男だった。隣の404号室の墨野氏と、なんらかの関係があるようなのだが、未だよくわからない。 「忠告に来た」  と、彼は早口で独特のイントネーションで言った。 「忠告だ……?」  なんのことかわからず、オウム返しにつぶやくガニガニ・9・ボーテ。 「そうだ。やつがここへやってきて、きみたちを罠にはめようとする。気をつけろ」 「罠? おれたちは狙われているのか? 5階の木玉倉だけじゃなく?」 「別の者だ」  505号室に住んでいるマッドサイエンティスト(と、ガニガニ・9・ボーテたちは思っている)の木玉倉狂介は、宇宙人の正体をあばき、高度なテクノロジーを我がモノにしようと画策していた。これまで何度も誘拐されかかり、2人にとっては要注意人物なのだ。  だが今回は、無関係だという。
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