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半分くらいがちょうどいい
「おはようございます」
「おはよう。水野さん」
休み明けの月曜日。
いつものように出勤し、自分の席につく。
結局また悶々と土日を過ごすことになってしまった。
『デジャブだ』と私は思った。
変な時空に入ってしまって、同じ時間を繰り返しているのではないかと思うほど重なる。
だが、考えても気疲れするだけだということはさすがに学習した。とりあえず仕事に集中することにする。
午後3時を少し回り、一度休憩しようと自動販売機へ向かった。
飲み物をどれにしようかと考えていると、後ろから声をかけられた。
「お疲れ様。今休憩?」
「お疲れ様です。......わっ!」
「毎回そんなに驚かれると俺もへこむんだけど」
「す、すみません、つい」
さすがに今回は振り向く途中で仲村さんだとわかったし、自分でも失礼だとは思った。
たぶん条件反射のようになってしまっている。
「水野さんて結構おもしろキャラだよね」
「は?」
「観察してるとだいぶ面白い。案外百面相だし。でも前はもっとクールっていうか、冷静な人だと思ってたんだけど、最近はなんか特に面白いよね」
「 面白い......?」
「うん。それに、俺のことばかり考えてるとか言われたら普通にその人のこと気にはする」
「......! えっと、あれは、ですね......」
いきなり金槌か何かで頭を殴られたような感覚になった。けれどまた言葉に詰まってあたふたしていると、彼はかぶせるように言った。
「いや、いいよ。理由はだいぶ気になるけど。また水野さんぐるぐるしそうだから」
そう言うと彼は仕事に戻ってしまった。
「......」
またとりのこされ、何も言えずに自己嫌悪に陥り、休憩所を後にした。
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