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先輩からのヒント
あのバレンタインデーの日から半月ほど経ったある日。
今日は先輩の竹内さんが3月いっぱいで結婚を機に退職するため、夜は送別会がある。
竹内さんというのは、私が新人だった頃にいろいろと面倒を見てくれていた先輩である。
午後7時から送別会が始まった。
竹内さんが他の人と喋っていたので、途切れた頃を見て挨拶をしようと席を移動した。
「竹内さん、ご結婚おめでとうございます」
「ありがと、水野さん。今までほんとありがとう」
竹内さんはそう答えながらにっこり笑った。
「いえ、こちらこそ本当に今までお世話になりっぱなしで......ありがとうございました。でも、竹内さんがいなくなっちゃうの寂しいですね......しかも東京に引っ越してしまうって」
「うん。でももう少しいるし、東京なんてここからじゃわりとすぐだし遊びに来て」
なんだか竹内さんに指導してもらっていた新人の頃を思い出してしんみりしてしまう。
「あ、竹内さんご結婚おめでとうございますっ」
そこへ少し酔っ払った佐藤さんがやってきた。
「ありがとう。ってやだ、佐藤君もう酔っ払ってるの?」
「まだ全然酔っ払ってませんよ~ねぇ、水野さん」
「......あ、あはは......」
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