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しかし、ひとくちに親睦を深めると言っても、具体的にどうすれば良いのか、皆目見当もつかないのが私の残念なところだな。
主上に近侍する六位蔵人という晴れがましい職に就くことができたというのに、無愛想な性格と辛辣な物言いが災いして、敵ばかり作っている自分――――藤原光成という人物のことは、良く理解している。
こんな私に、気さくに話しかけてくるのは、脳天気でお気楽者の建殿くらいだ。いや、待てよ……。
「光成様っ。これで俺たち、以前よりもさらに息の合った相棒として仕事ができますねっ。本当に嬉しいです!」
「……っ」
そうか……あぁ、そうだった。
ここに、居た。真守殿が、居たではないか。
年齢にそぐわないひげ面の上、態度も不遜で、口を開けば毒舌しか出なかった私。
それこそ宮中では嫌われ者の私だったが、真守殿はそんな私のきつい物言いも気にせず、ともに仕事を全うしてくれた。
それどころか、次も私と組んで仕事がしたいと言ってくれたのだ。
私の仕事ぶりと心映えにいたく感銘を受けたと。とても尊敬していると。
あの時、顔には出さなかったが、とても嬉しかったではないか。なぜ、私はそれを忘れていたのだろう。
「真守殿……えぇ、そうですね。私たちは、今も昔も、とても息の合った『相棒』ですよ」
そうだ。この真守殿。建殿以外では、唯一、私が宮中で親しく話す相手だ。
「……っ、光成様っ。それは、これから先もずっと、という意味ですか?」
「ふふっ。おっしゃる通りですよ。これからもよろしくお願いしますね」
感情を表に出すことが途轍もなく苦手な自分が、今、心からの笑みを浮かべている。それを、しっかりと自覚していた。
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