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禍々しい、緋色の光。
最初は点のように小さなものであったが、それはあっという間に広がり、周囲を深紅に染めていく。
「やっと来たか。待っていたぞ」
待っていた。これを。
“お前”を。
にやりと、口角が上がる。
不敵に微笑み、むせ返るような匂いを放つ夏草を踏みしめて、一歩、前に出た。
素早く霊符を取り出し、呪を唱え、そこに滅魔の気を込めていく。
「――――破ぁーっ!」
深紅の塊に向けて、調伏の真言を思いっきり叩きつけた。
――ぎぃっ、ぎぎぎぎっ、ぎぃぃっ
叫びとも呻き声ともつかぬ耳障りな音が、ぎぃんっと大地を震わせ、闇を切り裂いて響き渡っていく。
直後、辺りが、ぱぁっと明るく光り輝いた。
深紅の光が、ひと際輝く黄金色に変化したのだ。
イラスト:奈倉まゆみ様
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