四月 偶然の再会

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「あの……あと、もう一つお伺いしたいことが……」  minaがおずおずと口にした。  歌姫からの質問なんて、お兄さんなんでも答えちゃうよ。  彼女の有無とか……まさか、な。 「あの時、男性も女性もどちらもいけるって言ってましたけど、本当ですか?……まさか、お二人はお付き合いされてるとか??」  minaは冗談を言っている様子は一ミリもなく、心底気になっているという感じで聞いてきた。  歌姫はこう見えて同人誌系の趣味でもあるのか?   田中が受けで、オレが攻めとか……嫌すぎるだろ。  支店長は肩を震わせて笑いをこらえているし。そんなわけないでしょ。  あれは、とっさにおっさんを追い払うための方便であることを告げた。 「よかったです。安心しました」  minaはそう言って、笑顔を見せた。  表情豊かな子だ。声も澄んだ春風のように響いて、聞いていて心地よい。  いつまでも話していたいような気分にさせられる。   そのあとなんと連絡先の交換までさせられた。  芸能人の連絡先登録なんて初めてだ。  ま、キャバ嬢みたいに仕事用の携帯とかあったりしてな。
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