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広い部屋の真ん中にカプセルのようなベッドが置かれていた。
ベッドには年老いた男が横たわり、デジタルアルバムに映し出される写真を見ている。
1枚目の写真は、両親に抱かれた産まれたばかりの「万」と名付けられた男と村中の人達が映った写真。
2枚目には、養父であり後に義父となった男性と、義理の姉であり後に伴侶となった女性「杏」と共に映る幼い頃の「万」。
3枚目、「万」と伴侶となった「杏」を中心に1枚目の写真より数が減った村中の人達。
4枚目、沢山の墓標の前で祈りを捧げる「万」と「杏」の写真。
「万」が生まれる1~2万年程前から人類は絶滅の道を歩み始める。
人の寿命がグングン上昇するのに対して子供の出生が減り続けた。
人類は人工授精やクローン技術を使い人口を増やそうとしたが、焼け石に水で人口は減り続ける。
減り続けた結果「万」が生まれる1000年程前に、地球の人口は100万人を下回った。
1枚目の写真に映っている両親や村中の人達も、「万」と「杏」を除き皆200歳以上、「万」と「杏」を除き一番若いのは義父の202歳。
「万、これからどうする?」
墓標の前で祈りを捧げたあと杏が声をかけて来た。
「旅に出ようよ。
僕達以外にも生きている人達がきっといる筈だから、探そう」
「万がそう言うなら私は付いていくは」
「ありがとう」
電気自動車に食料と水に生活必需品などを積み込み、村を後にする。
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