第1章

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10枚目、紺碧の空を切り裂くように横切る飛行機雲とその先端にいる航空機。 「万! あれ! あれ見える!」 「見えているよ! 初めて見るけどアレ飛行機だよね!?」 「飛行機が飛んで来た方に行きましょう! 生きている人が絶対いるわ」 11枚目、墓標の前で泣きじゃくる万。 墓標に向かって泣きながら誓う。 「絶対に見つけるから、ウ、……………………み、見つけたら教えに来るね、ク、それまで、ウウ、寂しいだろうけど、グ、此処で待っていて……………………ウウ」 12枚目、遠くに森に囲まれた都市とその上を飛ぶヘリコプターが映った写真。 「オイ! あんた大丈夫か? 何処から来たんだ?」 「そんな事より医療班を呼べ!」 「オーーイ! 皆来てくれ! 訪問者だ!」 最初に出会った男性2人の後ろから多数の老若男女が駆け寄って来る。 駆け寄って来た人達が次々と声をかけて来た。 「大丈夫か!」 「頑張れ!」 「今、医療班が来るからな!」 駆けつけたヘリコプターに乗せられ病院に搬送されて、このベッドに寝かされる。 「人が、人が、こんなに沢山生きていたんだ、………………杏に、杏に知らせに行かなくちゃ」 ベッドから起き上がろうとする「万」を医師と看護師が抑える。 「駄目です! あなたは衰弱しすぎている」 「寝ていてください」 「50年前に死んだ女房に知らせに行きたいんだ」 「それなら暫く療養してからにしてください」 「お医者様の言う事を聞いて体力をつけましょう」
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