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書店の仕事は肉体労働だ。
書籍の新刊がぎゅう詰めになった段ボールは殺人級に重たいし、本のストックは書棚の下の抽斗にしまわれているため、立ったりしゃがんだりの動作も多い。下手な動き方をすると腰を痛めてしまう事もある。
由幸は大学生の時にアルバイトでこの書店に入った。
理由は家から近いから。時給は最低賃金と同じ額で、もっと割りのいいバイトなんか腐るほどあった。しかし書店の実状を知らなかった由幸は、本屋のバイトって楽そうでいいな、という軽い気持ちで面接を受けたのだ。
バイトの初日は帰宅したとたんベッドに倒れ込む羽目になった。段ボールや雑誌の束は重く、腕は筋肉痛。生まれて初めての腰痛も経験した。
一ヶ月したら辞めてやろうと思いバイトに通った。
しかしバイト先の人達は皆面倒見がよく、人には恵まれていた。そのため、一カ月したらが長期休みになったらに代わり、後半年したら、新年度になったら──とずるずると続ける事となり、結局大学四年目の年、特に目指す職種もなかった由幸は社員に誘われるまま書店に就職したのだった。
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