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ただ事ではない美歌の様子に、ケイイチの仲間達は少し遠くからこの様子を見ている。
「ねえ!」
美歌が焦れて声を荒げた。
「何なん?この女。」
突然、ケイイチの背後から声があがった。なぜか美歌を睨めつけながら、その声の主はケイイチの隣に立った。
背は美歌とそう変わりなく、小柄だがやたらと存在感のある男子。ぱっと見、女子かと見間違えるような美少年だった。
色素の薄い長めの髪。目はぱっちりと大きく小さな唇が薔薇色で、肌も透けるように白い。
しかしその瞳が鋭い眼光を放っていて、やたら気の強そうな印象だった。
「ミサキは俺や。三崎雄太郎や」
「え?」
美歌はぽかんと三崎雄太郎を見つめた。
もちろん由幸も。澤部は眉間に皺をよせて、伏し目がちにしている。
「みさきゆうたろう……?」
突然話に割り込んできた少年を見つめて、美歌は話が見えずに立ちつくしている。そんな美歌の目の前に、雄太郎はずかずかと距離を詰めてきた。
「てか、あんた何?先輩になんか用なん?」
雄太郎ははっきりと威嚇した。不躾なその態度に、美歌も負けじと雄太郎を睨みつける。
「私は!ミサキっていう名前の、ケイイチくんの彼女のこと言ってんの!!」
イラつく美歌に、雄太郎は口角を上げて笑った。
「あー。それ俺」
「はあっ!?」
雄太郎は勝ち誇った表情で、美歌を馬鹿にして笑った。
「あんたは何?何でこんなところで先輩のこと、待ってんの?」
明らかに自分の方が優勢だとわかっている口調。美歌の顔が真っ赤になる。
「ち、違う……!」
否定したのはケイイチだった。
「男となんか本気で付き合うわけないじゃん!?そいつがやたらしつこかったから、話合わせてただけだよ!」
ケイイチは慌てて弁解らしきものを語ったが、それを見る美歌の目は醒めていた。
「はいいっ!?」
逆に雄太郎は頭に血がのぼった様子で目を剥いた。
「先輩、それほんまに本気で言うてますか?」
小柄な体からは想像つかないような、地獄の底から響くドスの利いた声。
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