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 その男子高校生はいつの間にかBLコーナーの常連客になっていた。  すらりとスタイルが良く綺麗な顔をしており、数駅離れたところにあるそこそこ頭のいい子が通う高校の制服を着ている。メジャーなアウトドアブランドの黒い大きなリュックをいつも背負って、多分学校帰りに現れる。  書店に入ると脇目もふらずBLジャンルに直行、そして新刊をチェックする。 買う本はいつも来店時にはすでに決まっているらしく、新刊コーナーから目当ての本をさっさと手に取るとその後他の新刊をチェックし始める。  気になる物は表紙と裏表紙を交互に穴が開くほど見つめ、その中で彼の眼鏡にかなう物があれば手に持つ冊数が増える。その後はフェアの既刊本をゆっくりと見てまわる。  そしてBLコミックの平台と棚を気がすむまで吟味した後は、BLコミック棚の裏に展開されているBL小説の売り場へ足を向ける。小説の方はついでといった感じで流し見程度で終了する。  しかしお気に入りの作家の発売日はやはりBL小説の新刊コーナーへ直行し、目当ての本をすぐさま手に取っている。  なぜ由幸がこんなにも彼の行動を把握しているのかというと、やはりどうしてもそのコーナーで彼の姿が目立ち過ぎるからだ。
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