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男女数名。ユニフォームを着ているので、運動部の生徒だとわかる。
真剣な顔をしていた。
「あのっ」
あたしが口を開きかけた途端、
「月野くんっ! 何度も言うよ、君の運動神経があれば、全国大会も夢じゃないっ」
突然、半そで短パン短髪の生徒にさえぎられた。
「それどころじゃないわ! 小鞠くんのジャンプ力は、我がバレー部に必要な人材なのよ」
今度は、バレー部の生徒。
「いや、あの瞬発力こそ、是非うちの陸上部にっ」
陸上部。
「センスがあるっ」
ちなみにテニス。やったことない。
「度胸はっ!」
ない。
「スピリチュアルな世界を一緒に」
お断りします。
エトセトラ、えとせとら。
「月野くんっ!」
「月野小鞠くんっ」
熱心な部活動の勧誘だった。
みな共通してるのは、運動部の人たち。
熱心なのは結構だけど、格好とか目標が、今は西暦何年だっけと考えさせられた。
ああ、入学式早々に決めちゃった『アレ』が原因なんだと思う。隣では、ゆっちがうんうん。と頷いてる。
入学式の日。寝坊したあたしは、近道をしようと、校門沿いに続く壁を、『飛び越え』たのだ。
正確には、壁と電柱を利用した三角飛びなのだが、2メートルはあろうかという壁を飛び越えたように見えたらしい。
入学式で集まっていた全校生徒に目撃され、大注目を浴びてしまい、運動部から勧誘を受ける日々になっていた。
でも、あたしには決めている部があるの。そして何より、
「あたしは女だっ!」
叫び、助走をつけて、天井から下がっている蛍光灯の支柱部分を掴み、勢いのままジャンプ。先輩たちを一気に飛び越えた。
唖然と見守る先輩たちをしり目に「失礼しますっ」振り向かずに、走り抜けた。
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