34人が本棚に入れています
本棚に追加
あたしには、密かな趣味があった。
小説を読むこと。そして書くこと。
物語を創るという、クリエイティブ活動は、小さいころから興味があって、漫画も大好きだけど、想像力が無限の空想を広げてくれる、小説が大好きだった。
だから書くとすれば小説かなって。
「失礼しまーす」
あたしは、目の前の、目的地である扉を開いた。
薄暗い。けれど、夜にはまだ早い。
室内は思ったより広い。正面には窓があって、新校舎が見えた。
左右に棚が置かれていて、様々な本、空き瓶やロープもちらほら見える。
中心に大きな机。イスが3つと、奥には大きめのソファーが置かれていた。
机の上にノートパソコンがおかれていて、持ち出し厳禁。と張り紙がしてある。
ソファーの上で何がか動いた。
目が慣れてないから、よく見えない。あたしは「ひゃっ!」と間抜けな声を出した。
「なに~? 誰かいるの?」
影か体を起こす。だらしなく着崩れた白衣に、ボサボサの髪。大人の女性が寝ていたようだ。
「犬井? 加納? 誰でもいいわ、静かにしててね、昨日飲みすぎちゃったから」
「お邪魔します。えっと」
一度、部屋を出てプレートまで確認した。
「んー? 見ない顔ね。もしかして新入生? 『文芸部』だったら隣よ」
「いえ、ここ、『オカルト研究同好会』ですよね?」
頬杖をついてうつむいていた女性が、ちらりとあたしを見た。
最初のコメントを投稿しよう!