4月21日

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「お湯もらえます? 自前の味噌汁があるので」    持参したひるげを取り出す。 「味噌汁!? てかなによそれ、ひるげ!? 初めてみたわ」 「コンビニに売ってました」  白衣の女性は、くっくっく、と声を殺して笑い、苦しそうにうつむいた。 「変わってるって言われない? まあこんな部活に入ろうとするんだもんね、普通じゃないのは当然か」  なにか、ツボに入ったらしい。 「言われますけど、親友は、あたしを個性的と言ってくれてます」 「いいじゃない? 型にハマるってつまんないことよ、まあ……若いうちはね。  ああ、自己紹介が遅れたわね。  アタシは、柚葉(ゆずは)まこと。オカルト研究同好会の顧問よ、一応ね」  こう見えて教師らしい。そしてまことって名前だけど、女性らしい。おっぱいあるし。 「完全に部外者かと思ってました」    「うんうん。素直な子は好きよ。こう見えても教師なの。見えない? それってアタシにとっては誉め言葉。担当クラスはもってないけど、担当教科は化学よ」    「あたしの化学は、チッチですけど」 「チッチ? あ~、佐藤先生のことね」  柚葉……先生は、知ってるようだった。     チッチとはあだ名で、本名は佐藤。ことあるごとに、チッ、と舌打ちをするから、チッチと呼ばれていた。 「アタシは二年の担当だからね。で、聞くけど、なんでこの部に入ろうと思ったの? 黒魔術に興味でもあるワケ?」 「あたし、小説家を目指してるんですけど」 「文学部は隣だけど?」
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