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「お湯もらえます? 自前の味噌汁があるので」
持参したひるげを取り出す。
「味噌汁!? てかなによそれ、ひるげ!? 初めてみたわ」
「コンビニに売ってました」
白衣の女性は、くっくっく、と声を殺して笑い、苦しそうにうつむいた。
「変わってるって言われない? まあこんな部活に入ろうとするんだもんね、普通じゃないのは当然か」
なにか、ツボに入ったらしい。
「言われますけど、親友は、あたしを個性的と言ってくれてます」
「いいじゃない? 型にハマるってつまんないことよ、まあ……若いうちはね。
ああ、自己紹介が遅れたわね。
アタシは、柚葉(ゆずは)まこと。オカルト研究同好会の顧問よ、一応ね」
こう見えて教師らしい。そしてまことって名前だけど、女性らしい。おっぱいあるし。
「完全に部外者かと思ってました」
「うんうん。素直な子は好きよ。こう見えても教師なの。見えない? それってアタシにとっては誉め言葉。担当クラスはもってないけど、担当教科は化学よ」
「あたしの化学は、チッチですけど」
「チッチ? あ~、佐藤先生のことね」
柚葉……先生は、知ってるようだった。
チッチとはあだ名で、本名は佐藤。ことあるごとに、チッ、と舌打ちをするから、チッチと呼ばれていた。
「アタシは二年の担当だからね。で、聞くけど、なんでこの部に入ろうと思ったの? 黒魔術に興味でもあるワケ?」
「あたし、小説家を目指してるんですけど」
「文学部は隣だけど?」
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