4月21日

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「えーっと、でも……って?」   ああ、と彼女はクスっと笑って言葉を続けた。   「翼があったら、正直、邪魔じゃありません?」  思わず想像してみる。 「確かにそうかも。服、背中に穴あけなきゃね」 「寝返りもうてませんよ」 「本当だ。うつ伏せになって寝なきゃ」 「でも空は飛べますよ?」 「とはいえよ、空には飛行機とか飛んでるし危ないじゃない。カラスにも襲われるよきっと」 「カラス、そうですね。ふふっ、いいことありませんね」 「でも遅刻はしないかも」 「飛べますからね」  あたしたちは、笑った。  多分あたしがほっとしたのは、この子のほほ笑みがあまりに自然で、安心したせいかもしれない。 「キミ、相当変わってるね」 「私がですか?」 「翼があったら邪魔なんて、ロマンがないじゃん」 「そちらこそ、翼があったら飛べるかなんて、なかなか言えません」 「初対面の人には特にね」 「クラスメイトです。初対面ではありません」  意外に細かい女である。 「キミが空に何を想うか、なんて訊くからだよ」 「そうでしたっけ?」  祐智さんが優しくほほ笑む。  クラスではあまり目立たず、活発ではないが、不思議と周りには人が集まっている。  角川祐智とは、そんな少女だった。
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