4月21日

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 屋上は、一応立ち入り禁止である。  ただ、カギは何回かけても、何者かに壊されたり開けられたりするので、教師も半ば黙認していた。  そこに、優等生の祐智さんが来た。あたしの好奇心が膨らむ。 「キミはどうしてここにきたの?」  あたしの問いに、祐智さんは、動揺や芝居がかった様子もなく、 「あなたとお話ししてみたくて、探していたんです」  なんて、予想外なことを言いだした。 「あたしと?」 「ええ。月野小鞠(つきのこまり)さん。自己紹介の時から、気になっていました」  ああ、クラス替えの時ね。どんな自己紹介だったのかは……まあ、いいじゃない。 「気になってた? それって愛の告白的な?」 「突き落としてもいいですか?」  にこりさらりと、毒を吐く。 「殺人罪になっちゃうよ? あたしは見ての通り、羽がないから」 「まだその話を引っ張りますか」  祐智さんはクスクスと笑う。あとしもつられて笑った。
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