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家人とは何の面識もない家の軒先でこうしているのはいつかといえば、平日木曜の朝八時。
満十八歳になった俺も来月辺り十八になる武智も一応は立派に高校生であるからして、
当然今この時は登校する途上だった。
ついでに言えば、
残りの道程を勘定してここで朝八時はなかなかまずい。
俺も決して優等生などではないが、
三年ともなればいろいろと気になる評価があるのだ。
なぁ武智よ、お前もそれはわかるだろ?
「そう鈍い発言をするな。
だからもっと寄れと言っているのだ、
さあこの位置に立ってみたまえ」
俺のまっとうな多数派意見はこいつの福耳の端にも引っかからなかったらしい。
呆れまじりの声を出されて腕を引かれ、
俺は武智の右隣に立つことになった。
こうなると、ある程度感想を言ってやらなくてはこの場を動けそうにない。
俺は先に行くと言えば行かせてくれるやつだとはいえ、そうするとさすがにこっちの後味が悪いからな。
仕方なく両膝に手を当てて腰を屈める。
俺の方がやつより背が高いから屈む角度も深くなった。
どう口を開くかだが、
でまかせを言っても仕方がない。
ひとまずはこれを訊かせてもらおうか。
「で? これの何が良いんだよ」
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