良きかな。

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そもそも、その盆栽の根っことやらはほとんどが乾いた土に覆われていて、 透視能力でもない限り全体を見られる状態ではない。 まぁこいつが相手ならそうした能力のひとつやふたつ、 実は持っていると白状されたところでやっぱりなと言い返してやれる自信はあるが、 少なくとも俺には無理な芸当だ。 試しに土の起伏を睨んでみたが、 下に根があるのか、単に土が盛り上がっているだけなのか、やはり見ただけではわからない。 いや、それよりも、だ。 「そんなに生命力にあふれてんなら、 なんでこの盆栽は枯れかけてる。 他のだったら枯れかけどころかもう枯れている、 なんていうオチか?」 「ふむ。確かに、その着眼点はもっともだ。 …そうだな、少し待っていてくれたまえ」 俺が深く考えず口にした疑問を、 武智は頷きとともに肯定した。 そこまではいいんだが、 ついでやつは動線を視認できそうなほどにくっきりした動きをもって、あろうことかその盆栽を所有する家の門扉をくぐりに行った。 おいおい何をする気だよ。 「あー、いい、変なこと言った俺が悪かった、 もう行こうぜ」 「なに、すぐに済む」 門の外まで追いかけて、 俺まで入るのはどうかなとためらううちに、 武智の指が玄関先のチャイムを鳴らす。
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