愛着

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「っ、い、いま……っ!」 「うるさい、言うな。っこら、こっち向くなよっ」 驚きと焦り、それから言い表せない喜びにわたわたと慌てる雪の顔を両手で挟み込んだ幸の手が、じんわりと熱い。もしかして、照れているんだろうか。 「あの、む、向かないので……もう一回、とか」 「ない、今日は終わりだ」 「えっ、明日になればあるんですか?」 「……ない」 しまったと、幸の声に苦味が混じる。 今どんな顔をしているのか、気になってうずうずする雪を見越したように、幸の腕がより強く雪を抱きとめた。 運命なんて言葉を信じたことはないけれど。 もしも幸に出会うための今までだとしたなら、これほど両親に感謝することは、きっとこの先ないだろう。 唯一自分に居場所をくれた人の側に居られるなんて、夢を見ているみたいだ。
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