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「まあまあ……かな」
「そこら辺のたばこよりは美味い…と」
「ああ、美味い」
黒髪の友人……殿村明人はそのような返事をする。
この学校は比較的このような行為に厳しい。制服の着こなし方から、世の中で禁止されている物まで、ありとあらゆることで俺たちを管理しようとしている。
しかし明人はそれをあざ笑うかのように、どこで入手したのか定かでないタバコをいつもここで吸うのだ。
「そういえば、煙の臭いはどうやってごまかしているんですか?」
ふと湧き上がった質問に対し、例の無愛想な返答がくるかと思ったが、明人が口にしたのは案外しっかりとした答えであった。
「家で付いた臭い……親父がヘビースモーカーなんだって言ってる。……実際はタバコ吸えないんだがな」
「想像できないですね。君の親父さんのイメージがつかない」
「どんなイメージなんだよ、お前の中では」
「山男……ですかね」
イエティのような人……。
もしくはゴリラ、大男……。
ともかくそういう感じの人だ。
「まあ……見た目はそうだろうな」
「見た目だけで判断したくはないですが、残念ながら俺はあなたの親父さんをよく知らない。見た目以外は」
「じゃあ見た目はよく知っているわけか」
「強烈ですからね」
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