序章(大きい不良)

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 やっと落ち着いたのか、涙目になりながらも言葉を続ける。 「お前がそんなつまらない奴だとは思わなかった」 「嘘じゃあないんですけどね。それと、評価するならどちらかにしてください」 まったく……。人を嘘つき呼ばわりして。 まあ……信じられないような話をしている自覚はある。 「それよりも、授業受けないのか?また赤点取ったらめんどうだろ?」 「今更ですか?まあ、そうですね。この時間は僕の大好きな現社ですから赤点はとらないし、とらなけばいいんです。それに俺は今、保健室に行っている手はずですからたぶん大丈夫だと思います」 「ちなみに……熱か?」 「はい、熱です。今日は市具先生しかいなかったので。」 「俺もだ。今日は熱。勉強なんてしなくても分かる。範囲さえわかればな」  学年1位は言うことが違うな。  記憶力がいいのか、それとも要領がいいのか。おそらくその両方だろうが。 「英語が苦手な理由が分からん」  そのように頭が良い明人に対し、俺の成績は芳しくない。いいのは社会と化学ぐらいだ。      「他の国の言葉を覚えたって、なんの得にもならないじゃないですか」 「お前がいくらそう思っても、やらなきゃいけないことになっているからな。学校に入ったからには英語を学ばなければならない。だろ?」     
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