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「聞いたことをそのまま言ってみただけ。これが自傷行為になるんだったら反射はしない方がいいね。自分を無意識に傷つけるなら」
「あなたはどうやらそういう人のようだ。」
彼女は俺を見て、そして少し笑った。
「どういう人なの?」
「俺の苦手なタイプ」
初めて会った人に向ける言葉ではない。
「そっちの方が辛辣よ?」
「そうですか?」
あらためてよく見ると、彼女はその服装に似合わないバックを手にぶら下げていた。いや……リュックか。
リュックの掛ける部分に指を通してブランブランさせている。
「それでどうなの?」
彼女が尋ねてくる。たぶん先ほどの定例文の返答を聞きたいのだろう。
「どうって言われても。あいにく俺は無神論者ですから。まあ、神社に行ったなら名も知らない神様に手を合わせるぐらいですかね」
「それって、真偽はさておきとりあえずってこと?」
「まあ、そんなものです。というか、ほとんどの人はそうじゃないんですか」
「面白いこと言うね」
「そうですか?」
彼女は手に持っている荷物を肩にかけ、楽しそうに背中を向けた。
「退屈しのぎにはなりそうね」
やはり、あまり好きになれない人だ。
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