この平和の象徴は、あなたのですか?

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この平和の象徴は、あなたのですか?

私は30代の独身サラリーマンである。自宅は公団住宅の3階。今日は土曜の夜。仕事のストレスから解放され自由を満喫できる。リサイクルショップで購入したボロい濃茶の牛革ソファーに横になり、1人でスマホのネット動画やニュース速報サイトなどをだらだらと観ている。 すると突然、インターホンが鳴り出す。 一瞬、ドキリとする。こんな時間にいったい誰なのか?恐る恐るドアスコープを覗く。 何やら顔中白髭に覆われ頭皮の薄い60代くらいのジジイが真顔で突っ立っている。 頭の中でめまぐるしく記憶を辿るも面識は一切無いジジイであると確信する。 ドアロックは掛かっている。これはシカトしよう。 そう思い、ソファーに戻ろうとするとジジイがドア越しに「村松さーん」と私の名を呼ぶ。見た目のイメージと違い、柔らかく温かい声色である。 更にジジイは、数回インターホンをゆっくり鳴らし柔らかい声で私を呼ぶ。この間と声に危険な匂いはしない。 「はーい」 とりあえず私は返事をして、チェーンを掛けた状態でドアを開ける。 「はい、何でしょうか?」 「こんばんは。こちら302号室の村松さんのお宅で宜しいですか?」     
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