5・思い出譚

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真夏の炎天下に部活の最中、暑苦しい室内から弾けて水遊びをした。 少しは涼しさの漂い始めた時季に文化祭の成功を祝ってジュースで打ち上げ。 2人で過ごす初めての恋人イベント……冷たい空気と澄んだ空の中を彩る季節外れの大輪の花。 次々と待ち構えている季節毎のイベントで、肩を並べていたり、指先を絡めていたり、手のひらを会わせて重ねていたりと同じ時間を過ごす内に寄り添う姿も象を変える。 「増えたね」 「うん」 印刷した思い出を本にしながらにっこりと微笑むその頭の中に、写し出す事の出来ない多くの思い出が存在している。 これは内緒。 自分の中にだけ大切にしまいこんで、誰にも見せたくはない大事な記録。 互いの"記憶"という名のアルバム。 ─────あ、ほら……また増えた ~fin~
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