2・彼

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……来た。 中学の部活で知り合った一つ年下の彼女が、僕の通う高校に進学し、また同じ部に入ってきた。 「おおっ!あの子可愛くね?」 新入部員となる後輩を眺めていた友人の言葉に不快感を覚える。 「あの子はダメ」 「ん?なんで?」 思わず音となった言葉を拾われて、返された声に笑顔を張り付け首を傾げて応えた。 顔を見合わせて首を横に振って戯れる男子高校生2人……子供だな。 「先輩、お久し振りです」 そんな僕の傍にまでやって来て、彼女は緊張した面持ちで固まった笑顔のままちょこんと頭を下げた。 うん、なんだか益々可愛くなった気がする…… 「ああ、これからまたヨロシクな」 そう微笑んで返すと、後輩となる彼女は和らぎ緩んだ笑顔を向けてきた。 ────あ、残したいな……
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