3・彼女

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夏という季節は何故こんなに暑いのだろう。 照り付けてくる太陽のせいでダラダラと汗は流れるし、体臭が気になって仕方がない。 憧れていた先輩は一年も見ない内に背も高くなり、幼さが無くなったように感じる。 不慣れな作業に手を差し伸べてくれる優しさが胸を逸らせる。 「夏休み、会えなくなるな」 そう呟きが耳に届いたのは気のせいだろうか? ふいに上げた目の先で先輩は何気無い素振りを見せて作業へと集中していた。 会えなくなる…… 淋しいなんて、思ってくれるのだろうか。 「休み中も部活あるから、さ」 そう照れた様で笑う。 ─────心臓が止まりそう。 この笑顔は私の脳内にずっと残される。
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