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青々と、そして伸び伸びとした雑草の間から覗く眼光。
その鎌さばきは一瞬にして一撃。
カマキリのカマオは大きな獲物を捕らえた。
「へへ、やったぜ! 過去にない大物を捕まえてやったぜ!
そうだ! SNSで自慢だ!」
カマオは早速片手に……いや片鎌に獲物を握りしめ、斜め45度から自撮り。
「送信っと。いやー皆んなからの反応が楽しみだなー!」
数分もしないうちに、いいね!やら他のユーザーによる拡散がされ、カマオの大物捕獲報告は瞬く間に遠くの草原までに広がっていった。
「うひょー。ここまで伸びるとはなー。
しかも、カマキリ仲間からも絶賛の嵐だぜ!」
これに味を占めてしまったカマオは獲物を取る度にSNSに写真を載せ情報の発信をするようになった。
~数日後~
「な、なぜだ……」
げっそりと頬が痩せこけているカマオの姿がそこにはあった。
立ち上がる元気もないのか草の上でダラリと伸びている。
辺り一面はカマオ以外の虫の姿が見当たらない。
獲物だけではなく、普段からの顔見知りのカマキリも見当たらないのだ。
理由は簡単。
カマオは毎日のようにSNSに大物捕獲の写真を発信していた。
これを見ていた他の虫は、この場所は 危ないと判断して遠く逃げていき、 更には情報の拡散を行い仲間にも情報の伝達を行なっていたのだ。
一時的な優越感に身を任せてしまったが故の報いである。
情報の発信も程々に。
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