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ちょうど二人が店を出て行ったすぐ後のこと。
実は常連ばかり、顔見知りばかりだったレストランの客たちは、ひとところに集まって話をしていた。
話題はもちろん、さっきまでいた二人のサラリーマンの話である。
狼男のウェイターが言った。
「さっきの客だけど……あれってもしかして」
ろくろ首のOLも言う。
「人間、じゃなかったかしら?」
いったんもめんの中年もうなずいて。
「実は私もそう思ってたんだ」
吸血鬼の老紳士は首を振り。
「まさかまさか。このレストランに人間が客として来るはずがないだろう?」
妖怪そんなのイルカも。
「確か、人間は入れないようになっていますもんね?」
ヌエも同じく。
「来るとしたら材料としてだけだろうに。ピョゲ~」
最後に透明人間が何か言おうとしたのだが。
「……」
そもそもいることに気づかれていなかったのでみんなに無視されていた。
結局、誰にも正解が分からないまま頭をひねっていると、入り口が開いて、またお客がやってきた。
狐顔のサラリーマンだ。
この男、実はキツネが化けた妖怪変化なのである。
人の世に紛れて、人をだましては面白がっている迷惑な妖怪だが、いつもファーストフードや油揚げばかり食べているものだから、すっかり舌の力が弱っていて、味音痴で有名であった。
そんなキツネも、常連仲間が集まっているのを見つけると、興味をもって寄ってくる。
「おやおや。忘れ物を取りに来たと思ったら、みなさん。どうされたのですか?」
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