集合写真

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 人間は何が原動力になるか分からない。そのときの僕達を突き動かしていたのは、先輩や周囲の低い評価に対する反発心だ。そして、腸の煮えくり返ったキャプテンの怒りが容赦なく僕達の尻を叩いた。そのおかげだろうか、僕達はわが母校の野球部史上類を見ない、結束した集団となった。そしてそれに呼応するように少しずつだったけど、チームの力もついてきた。  練習試合でも、たまにだが勝てるようになり、負けても次につながる負け方が出来るようになった。  相変わらず、八番ライトを争っていた僕達だが、その分、外野の守備に関しては、チームの一、二を争うほどになっていた。残念ながら、打力のほうは相変わらずさっぱりで、これに関しては三年間経ってもあまり変わらなかった。 「それで、夏の地区予選が始まったんだよ」  荻田はまるで昨日のことでも思い出すかのように、すらすらと話し続ける。もちろん僕だってそれは同じで、まるで昨日のことのように鮮明に記憶に焼き付いている。      
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