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洞窟内もコウモリがまるで貴族たちに買われている犬や猫のように艶のある体毛をしている。そして明るくなったダンジョンのおかげで早くも人間に捕捉されてしまう。明るさが艶のある体毛によってより一層人間に居場所がわかるようになっているのだった。
「た・・・宝箱が・・・」
「はい、物陰に隠れていたので表に出しておきました」
宝箱は人間たちに再びダンジョンへと来させたいと思わせるためのいわば勧誘策だ。金が入っているときもあれば洞窟内で死亡した人間から奪った装備が入っているときもある。それらを手に入れるためにも人間たちはダンジョンへと侵入して来る。しかし、取りやすい場所に置いておけばすぐに見つかって取られ放題となってしまう。そのため見つけにくい場所に置くことが多いのだが、ベアトリクスは見事に全て見つけやすい場所へと配置換えをしてくれていた。
「あ・・・転んだ」
「あぁっ! 大変です。ワックスがけをし過ぎてしまいました」
洞窟内も奥へと進んで行けば砂埃が無い岩肌が露出した足場もある。そこに足を置いた人間がつるつるの岩肌で滑って盛大に転んだのだ。それらは湿気で育ったコケでもなければ天然の粘液や成分でもない。人工的に作られた艶出しワックスをベアトリクスが大量にかけたために起こったことだった。
「ゴーレムが・・・」
「はい、美術館の展示品にも負けないくらいきれいに磨いておきました」
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