ラビリンスマネージャー

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 洞窟内がピカピカになったことから洞窟内のモンスターまでピカピカになっている。コウモリの体毛に艶があるのもそうだが、こちらはボスクラスのゴーレムがその体に塵や埃一つなく綺麗だということに大きな違和感がある。侵入してきた人間たちもあまりの不自然さに困惑している様子が窺える。 「こ、これはもう・・・ダンジョンじゃねぇ!」  あまりの変貌ぶりにヴィンセントは否定的な言葉を声に出すことくらいしかやれることが無かった。 「昔、人と話したことがあります。お店は来客を増やしたいと考えるならまず掃除が基本だと、きれいにしていれば心象が良くなると聞いたことがあります。そうなればイメージもアップして集客数も倍増です」  ベアトリクスは自信満々に述べる。しかし、そこには決定的と言っていいくらい大きな間違いがある。 「ベアトリクス・・・いいか? ここは人間を相手取った戦いの場所なんだ。やってくる人間は全員俺達を殺そうとしてやってくるし、俺達も人間を殺そうと思ってダンジョンを作っている。立地条件に優劣を左右されるところもあるけど、みんなダンジョンの経営者はそう考えているんだ」  迷宮の経営者側は人を殺めなければ利益が得られない。そのためトラップを仕掛け、モンスターを配置し、人から見た危険度をどれだけあげられるかが重要になってくる。 「それを、入ってくる人間にやさしくしてどうするんだ? これじゃあ俺たちは一向に利益を得られないままだ」     
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