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人と敵対した魔王だが戦いはそれに終わらない。魔王を直接狙う勇士たちの陰に隠れた日常の糧を得ようとする者達がいる。トレジャーハンターや冒険者と呼ばれる者達だ。彼らは魔王を狙わない。魔王の手掛かりとなる秘密、金銭的価値の高い宝物、所有する対人間用の迷宮内の珍品など、危険を顧みずにそれらを狙って自らの懐を潤す者達だ。
皮肉なことに、魔王が彼らの相手をすることによって人々の生活は失われる人命と同等分の向上が見られ、魔王に刃向かう者達の力が増強される。さらに人間同士の醜い争いは減少し、人間すべてが一丸となって魔王の敵となる。しかし魔王は人に牙を剥く存在であるが故に彼らの相手をやめるわけにはいかない。負の循環があることを承知の上で魔王は人々を相手取り、彼らにも犯したリスクに応じた褒美が手に入れられる迷宮というものを作り、自らの配下にその迷宮の経営を一任していた。
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光り輝くクリスタルが薄暗くじめじめした洞窟を明るく照らしている。それはまるで松明かランプのような役目を受け持つクリスタル。薄暗くじめじめした洞窟の天井にいくつも埋め込まれるように設置されている光り輝くクリスタルのおかげで洞窟の中はまるで人の手によって作り出された室内であるかのように明るく照らされている。
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