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青年は鋭い視線を水晶玉に映る交渉相手に向ける。その目は生半可な人間であれば睨まれるだけで呪い殺されてしまいそうなほど鋭く恐ろしい。
「何度も言わせるなよ。その話は無い。いついかなる時も、だ」
青年の様子を見てこれ以上の交渉は無理だと察したのか、水晶玉に映る交渉相手は一つため息をつく。
「わかっているさ。そういう選択肢もあるってことを言いたかっただけだ。お前ほどのやつがそんな条件の悪い場所に赴任させられたのはみんな疑問に思っている。それにお前をそんな場所に赴任させたお偉いさん方を見返すためには大金が必要だ。俺達の世界じゃ寄付や譲渡はご法度なんでね、肩入れしたくてもできない。そうなると手っ取り早い手段はそれしかないってことだ」
自分に向けられる言葉は確かに的を射ている。青年はそう心から思っている。何度もその選択肢を考えはしたが、彼はそれを実行に移すことはないと決めていた。
「もういい、値段が少しでも安くなったら言ってくれ」
「わかった。それくらいの情報なら教えるのも順番の問題だ。多少優先して渡したところでご法度になりゃしない。新しい情報が入り次第連絡する」
水晶玉に映っていた相手の顔が消え、無色透明の水晶玉はただの水晶玉に戻り、デスクの上でただの物としてそこにあるだけとなった。
「・・・・・ふぅ」
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