ラビリンスマネージャー

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 椅子に浅く腰掛けて背もたれに首を預ける。光り輝く明かり代わりのクリスタルが埋め込まれた天井を仰ぐ表情は浮かない。 「さて、どうしたものか―――――」  金は無い。金を作り出す案もない。そうなればダンジョンの強化ができない。ダンジョンの強化ができなければいつまでたっても何も変わらない。そんな大きな壁にぶち当たった。  解決策もなく、ただ天井を仰ぎ見ながら時間だけが過ぎていく空間。そこに突如人影が現れる。 「ヴィンセント~~~っ!!!」  ダンジョンに似つかわしくない可愛らしい女の声。その声の主の女は椅子に座る青年の背後まで駆け寄る。 「・・・・・ん?」  行き先不安な状況で考え事をしていた青年は女の接近に気付かず、天井を仰ぎ見ていた視界に突如二つの山が飛び込んできたことでようやく彼女の接近に気付いた。 「ベアトリクス・・・か」  視界に飛び込んできた二つの山、それは彼女の胸にある大きなバストだった。金色の長い髪に白い純白の衣装を身に纏った彼女はとても美しく、人間世界では天使と呼ばれる存在である。  彼女が天使と呼ばれるのは世辞でもなければ妄言でもない。純白の衣装を身に纏った彼女の背中には大きな天使の羽が折りたたまれている。彼女は有翼人種であり、宗教家たちからは天使として崇め守られる立場にある。     
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