ラビリンスマネージャー

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 そんな彼女がなぜダンジョンの中にいるか、それは彼女の外見が有翼人種であることが原因である。宗教家たちから見れば天使であっても、無宗教の者達から見れば翼の生えた異形の生物である。そんな彼女は天使とモンスターという両極端な扱いを受けており、モンスターとして人に退治されそうになっていたところをこのダンジョンの管理者である青年ヴィンセントに救われて囲われているのだった。 (ベアトリスクが高値で・・・ねぇ)  人間視点で見ても人を引き付ける魅力的な体を持つベアトリスク。容姿も良い。宗教関係者に差し出せばさぞ高値で売れることだろう。それ以外に有翼人種と呼ばれる種族は実にめずらしく、モンスター業界でも高値がつく。 (移籍金一千万以上は確実―――――ってところか)  頭の中でベアトリスクに着けられる移籍金の相場を計算するヴィンセント。その金があればどのようにダンジョンを変えることができるかまで頭が行ってしまいそうになり、自ら決めたことを裏切ってしまう前にその思考を完全に停止させる。  ベアトリクスは優れた戦闘能力を持つというわけではない。だが、彼女が宗教家たちにとって特別であるのはその容姿と優れた治癒の魔法技術を持つからである。さらに人語も介しており、意思の疎通を図ることもできる。外見と能力が合わさっているからこそ、彼女たち有翼人種は宗教家たちに特別視されているのだった。 (経営だけを考えれば、ベアトリスクを野良で手に入れて金作のために移籍するってのがセオリーなんだろうが・・・)     
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