ラビリンスマネージャー

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 彼女を囲った時、野良のモンスターとして囲ったのではなく、人間に襲われていたことと人間とは異なる種族の者だから囲ったのだ。金のために動いたのではない。だからこそ、ヴィンセントは彼女を移籍市場に差し出して自らの金にするということはしないと心に誓っていた。 「お仕事、無事完了です」  綺麗というよりも可愛らしいという表現が似合っているベアトリクスの満面の笑みは天井を仰ぐヴィンセントからは豊満に実ったバストの間から見えていた。 「・・・・・仕事?」  ベアトリクスの言葉にヴィンセントが眉をひそめる。彼は彼女に仕事を頼んだ覚えなど無かった。 「はい、お掃除をしてピカピカになりました」 「―――――はぁ?」  彼女の言葉にますます意味が分からなくなる。しかし、そこで一つのことが脳内で答えとして導き出され、すぐさま体を起こしてデスクの上に置いてある水晶玉を覗き込む。  デスクの上にある水晶玉は特別なもので、特定の相手と遠距離で会話をすることができ、さらに自分の力が及ぶ範囲を遠くからでも監視することも可能だ。 「おいおいおいおい・・・・・」  水晶玉に映る自分が管理するダンジョンの内装に目が点になる。 「どうです? ピカピカで綺麗ですよ」  満面の笑みのベアトリクス。しかし、ヴィンセントからしてみればそれどころではない。     
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