神の人形 新たな伝説の始まり

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神の人形 新たな伝説の始まり

 暖かな日差しが毎日のように世界に差し込む。閉じていた草花の開花を促して世界に彩りを加える春がやってきた。動物達だけでなく、人々の生活にも活発さが生まれる。  石造りの建物が立ち並ぶ街は人々が大勢行き交う。街の中心地には人々の生活を取り仕切る行政の中心地となる高くそびえる城があり、外に目を向ければ遥か遠くまで草原が広がっている。草原と街を区切るのは巨大な城壁。人工物である城壁は人里と自然の境界線となっている。  街中の賑わいは春ならではのもの。身を縮こまらせる寒気が去り、温かくなった世界を喜ぶ声も少なからずある。そんな賑わいは街の中だけではない。人里の中心地となっている高くそびえ立つ城の中でも熱気に包まれている部屋があった。  城の中の広い一室では多くの屈強な男達が集まっている。甲冑を装備した男達が野次馬のように部屋の中心部を取り囲んでいる。そしてみんな口々に声を上げている。怒声や罵声はもちろん歓声や声援など、誰がどんな声を発しているのか判別することは不可能だ。     
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