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史上初の女騎士
夢を見る。儚く悲しい、それでいて暖かく落ち着く、しかし遠く届かない涙があり、それでも受け継がれた誇りと心が前を見据えさせてくれる。そんな夢―――――
「お父さんの昔話って面白いね」
簡素でお世辞でもとても裕福とは言えない木造りの家。椅子に座る髭を生やした男性は優しい笑顔で膝の上に可愛らしくちょこんと座る女の子の頭を撫でている。
「ははは、そうか。それは嬉しいな」
肩までで切りそろえられた金髪と穢れを知らぬ天使のような笑顔は父親の自慢だった。
「でも最後はいつも一緒。陛下の剣で終わるんだよね」
「まいったな。父さんはこれくらいしか話せることが無いからなぁ」
愛娘に話の顛末を突っ込まれて頭をかく父親。
「でもいいもん。お父さんは私の自慢のお父さんだもん」
「嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
父親は娘と笑顔で向き合う。その至福の時を何よりも楽しみ、何より大事にしている。
「ねぇ、お父さんは一番になれないの?」
「父さんは無理だなぁ」
「どうして? すごく頑張ったんでしょ?」
「頑張っただけじゃダメなんだよ。父さんは頑張ったけど、それでも足りなかったんだ」
「うー・・・よくわからない」
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