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外出時、つかず離れず王女の護衛にあたる剣士。まさか護衛役を剣の師匠と仰いでいるとは盲点だったかもしれない。護衛が護衛以外の任務を平気で全うするようなものだったことも王女にとっては幸いしたのだろう。
「後は窓の下です」
「・・・窓の下?」
「はい。見てください」
そう言うと窓の方へ駆けていく王女。タリムは一つの予想のもとに王女の後に続いて窓へと向かった。
「ほら、あそこです」
「やはり・・・」
窓を開いてバルコニーへと出る。広がる城下町とさらにその先の平原や海はとても眺めが良い。一流のホテルでもなかなかお目にかかれない好条件だ。だが、王女が最も気にしたのはそんな遠くではなくすぐ真下ともいえる場所だった。
兵舎が見え、兵士達が剣の訓練をする姿がよく見える。そして耳を澄ませば教官の怒号や兵士達の掛け声が聞こえないわけではない。
「ワットから習った基礎と兵舎での訓練を目で見ました。後は城内の図書館で見つけた剣技についての書物を読み、一人でこの部屋でもできることを中心に考えました」
優秀過ぎるのも問題なのかもしれない。身近な人から教えてもらった基礎を目で見た実際の訓練に本から得た知識を上乗せして自ら訓練の方法を編み出してしまったのだ。
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