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淡々とした様子で王女に服を脱ぐよう詰め寄るタリム。彼女からしてみれば汗にまみれた王女を城下町へと送り出すことなど許されない。もっとも、このお転婆姫は城下町で汗や泥にまみれて帰って来ることも少なくは無いのだが、少なくとも出発の段階でそうなっているよりかはマシだろう。
「ふぇ~ん・・・」
慌てて衣服を脱ぐ王女。その素肌に傷は一つもなく、きめ細やかで透明感と潤いが保たれた肌は全ての女性の憧れだ。無駄のない引き締まりと女性らしさのふくらみのバランスはタリムも憧れる。王女ということで質の良い物を日々口にし、城下町へ出向いたり剣の稽古をしたりと体を動かしていることなどが相乗効果として彼女をより美しくしているのだろう。
早々に衣服を脱ぎ捨てた王女は私室に備え付けられている浴室に飛び込む。王女でありながら慌てる年頃の女性らしい動きは民衆からも親しみやすい。
「まったく、アルトリス国の第八王女、ティアリナ=アルトリスであるという自覚を持って行動していただかないと困ります」
王女ティアリナが脱ぎ捨てた衣服を手早くたたむとタリムもメイド服のスカートを短くなるようにまくり、袖も肘までまくり上げる。
「タ、タリム?」
突如浴室へ入って来たタリムに驚くティアリナ。素っ裸の王女にメイド服を着たタリムがゆっくりと歩み寄っていく。
「城下町へ出かけるのです。民衆に恥ずかしくないよう汚れの一つがついていることも許されません。全身ピカピカのつやつやにして差し上げます」
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