3人が本棚に入れています
本棚に追加
パン屋のおじさんが声をかけてくる。
「王女様ぁ~っ! ケーキでもどうですか?」
遠くのケーキ屋の女の子が声をかけてくる。
「異国で良い物が手に入りましたので見ていかれませんか?」
通りすがりの古物商のおじいさんが声をかけてくる。
「おひめさま。またいっしょにあそぼうね」
元気いっぱいに走り回る子供達が声をかけてくる。
「ティアリナ様。次の公演、ご都合が良ければぜひ見に来てください」
楽器を持った青年音楽家が声をかけてくる。
「おやまぁ、この間は話をしてくれてありがとうねぇ」
木陰に腰掛けるおばあさんが声をかけてくる。
そんな民衆を一切無視することなく、声をかけてきてくれた人たちには笑顔で返事をして、手を振ってくる人には満面の笑みで手を振りかえす。集まってくる人は誰もが彼女を慕う人達ばかりだ。
「・・・ここまでとは思いませんでした」
民衆と同じ姿に化けたタリムはティアリナのあまりの人気ぶりに開いた口がふさがらない。近くをついて歩こうと思っていた矢先、人だかりに道を阻まれて近づくことさえできない状態だった。
最初のコメントを投稿しよう!