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「心配だからじゃ」
「―――――はい?」
国王の一言にメイドは一瞬、言っている意味が理解できなかった。
「心配なのじゃ! 姫はもう十五になる。子供から大人へ変わる時なのじゃ。少女から大人の女へ変わる瞬間は様々な誘惑がある。さらにどこの馬の骨ともわからぬような男にそそのかされていないか心配で夜も眠れぬ!」
国王である前に一人の親ということなのだろうか。威圧感漂う国王の雰囲気は一蹴されて、今はただ娘を気に掛ける父親だった。
「国王様専属のメイド長に今朝方お話をお伺いいたしまして、昨夜は早く御眠りになられた国王様は日が昇ってからの起床だったとお聞きしています。延べ時間にして十時間以上の快眠だったと言う国王様の満足げな朝の表情を見たとメイド長も大喜びでした」
「なに、日ごろ溜まった心配からくる睡眠不足の結果の睡眠じゃ」
謁見の間にいる誰もが「いや、思い切り寝てるじゃん!」というツッコミを心の中に持っていたが、誰も口に出すことなく心の中にしまっていた。
「心配の種は海の向こうの異国の王子が原因だ」
「異国の王子?」
将軍がようやく明確な答えを言ってくれるようだ。
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