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「異国の王子は狩りが趣味でな。従者を引き連れてよく狩りに出かけたのだが、その時に出会った女性に一目ぼれをした。そして王族や近親者を説得してその一般女性を妻にしてしまったのだ」
異国の王子様もなかなかやるなとメイドは思った。だが、そんな話が伝わって来たのなら国王も心配になるのは致し方ない。狩りに出た異国の王子とお転婆で城下町の外に出る姫の状況は非常に酷似している。姫が一般男性と恋に落ちる可能性を気にして心配するのは一国の王でもあり父親でもある国王にとって当然の心境だ。
「そういうことでしたか。わかりました。では、早々に任務に移ります」
メイドは姿勢を正してスカートの裾を持ち、華麗に国王に頭を下げてから踵を返す。そして足早に謁見の間を立ち去って行った。
「・・・ふぅ、これで安心して大臣との会議ができるわい」
「大臣、並びに各地の豪族達を会議室に待たせたままです。中断してから再開予定時刻を大幅に超えているので急ぎ参りましょう」
謁見の間にいた兵士達は「そんな大事な会議を途中でほっぽりだすなよ」と言いたいところだったが、みんな心の中にその思いをしまっているのだった。
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