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贖罪の少女
じめじめと湿った暗い洞窟の奥底。岩肌に不規則に備え付けられたランプの明かりが唯一視界を確保できる明かり。広い道もあれば細い道もある。明かりに照らされるだけの簡素な通路を音も無く一人の男性が進んでいく。
「―――――っと、この先みたいだな」
何かを確認するように細く奥へと伸びていく岩肌に触れる。すると岩肌に触れた手には砂や土がこびりついている。湿っていることもあってか、湿り気のあるザラザラとした感覚は実に気持ちが悪い。だが、それをランプの明かりの傍に持っていくとただの気持ち悪い感覚が一蹴される。
「やっぱりな。鉱山か。それも金だ」
手にこびりついた砂や土。その中に混ざってキラキラと光を跳ね返す砂も存在する。それは細かく砂状になっている金、すなわち砂金だ。
男性は手に着いた砂と土を砂金ごと払い、さらに奥へと足を進める。不定期間隔のランプは時に役に立たないくらい暗い場所を作り出しているが、男性は気に留めることなく慣れた様子でさらに奥へと突き進んでいく。
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